日本陸上競技選手権10000m 大会優勝および五輪参加標準記録突破でパリ五輪へ

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12月10日 国立競技場にて第 107 回日本陸上競技選手権大会10000mが実施される。

本大会は、パリ五輪2024の日本代表選手選考競技会を兼ねており重要な大会となっている。

大会の注目ポイントと陸上競技10000mのパリ五輪代表選考条件等をまとめた。

目次

第107回 日本陸上競技選手権10000mにおける五輪代表内定条件

本大会の結果にて、パリ五輪日本代表内定を獲得するためには男女ともに以下の条件が必要になってくる。

内定条件

  • 条件1:本大会優勝者で、本大会終了時点までにパリ五輪参加標準記録を満たした競技者
  • 条件2:ブダペスト2023世界選手権入賞者で2023年11月1日から 2024年6月30日までに、ワールドランキング対象競技会においてパリ五輪参加標準記録を満たした競技者
陸上10000m五輪代表内定フロー
陸上10000m五輪代表内定フロー

条件1の本大会優勝者に関しては、明確で分かりやすいが、パリ五輪参加標準記録の文言が分かりにくい。

五輪参加標準記録とは、その基準を超えるタイムを記録した競技者が五輪の出場権を得ることができる。(ただし一つの国に対する最大枠数制限がある。)

10000mの場合、男子が「27分00秒00」、女子が「30分40秒00」であり、その有効期間は、国際競技連盟のWorld Athletics(以降WA)が2022年12月31日から 2024年 6 月 30 日の記録と定めた。

つまり、2022年6月30日から本大会実施終了までに参加標準記録を突破した競技者が、本大会で日本代表内定者に選出されるということになる。

条件2に関して対象となるのは、女子の廣中 璃梨佳(ブダペスト2023世界選手権入賞者)のみであり、本大会では順位に関係なくパリ五輪参加標準記録を突破すれば内定となる。

大会開始前までの参加標準記録突破者を見てみると、残念ながら男子女子ともに該当者はいない。

実際のところ世界を見ても男子ではケニア6人、エチオピア 2人の合計8人しか参加標準記録を突破していない。

女子では、エチオピア、ケニア各12人、オランダ 2人、続いてイギリス、アメリカ、ウガンダ各1人突破している。

参加標準記録自体が難易度が高い設定であることがわかる。

参加標準記録と日本人の関係性に関して詳しく見てみると、より厳しさがわかる。

男子参加標準記録「27分00秒00」に対して、日本記録は、2020年の第104回日本選手権で 相澤 晃が記録した「27分18秒75」である。(この記録で、相澤選手は東京五輪参加標準記録「27分28秒00」を突破し、日本代表内定を勝ち得ている。)

つまり、日本記録を18秒以上更新しないと突破できない難しい記録だということが分かる。

女子に関しては、参加標準記録が「30分40秒00」に対して、日本記録は、2020年の第104回日本選手権で 新谷 仁美が記録した「30分20秒44」であり、日本人でも突破している実績のあるタイム設定である。

しかし、日本人が30分40秒を突破したのは、 2人しかいない。

日本記録保持者の新谷と2022年のオレゴン世界陸上で「30分39秒71」を記録した廣中である。

女子に関しても難易度の高いタイム設定であることがわかる。

本大会で、条件を突破し内定を掴み取る選手が居れば、それは限界を突破した異論の無い日本代表であることが言えると思う。

 

本大会の注目選手

本大会は、男子ではオープン参加1名を含む30名、女子はオープン参加1名を含む28名がエントリーしている。

その中で注目選手は、男子日本記録保持者の相澤が挙げられる。

前回の五輪選考会でも強さを発揮したとおり参加標準記録へは最も近い存在だと思われる。

また、駒澤大学で箱根駅伝でも活躍した田澤 廉はベストタイムが相澤選手に次ぐ 2番目の「27分23秒44」である。

さらに 2022-23年の直近の記録「27分28秒04」は、参加者の中で1位となっている。

ベストタイム3位の伊藤 達彦(ベストタイム「27分25秒73」)も、第105回日本陸上競技選手権優勝者であり、実力実績ともに優勝に近い存在である。

この3人を軸に優勝が争われるものと考えている。

男子エントリー選手 自己ベストTOP10
氏名 所属 自己ベスト 2022-23年ベスト記録 備考
1 相澤 晃 旭化成 27:18.75 27:42.85  
2 田澤 廉 トヨタ自動車 27:23.44 27:28.04  
3 伊藤 達彦 Honda 27:25.73 27:42.48  
4 清水 歓太 SUBARU 27:31.27 27:31.27  
5 太田 智樹 トヨタ自動車 27:33.13 27:42.49  
6 松枝 博輝 富士通 27:42.73 27:57.72  
7 田村 友佑 黒崎播磨 27:43.11 27:43.11  
8 塩尻 和也 富士通 27:45.18 27:46.82  
9 市田 孝 旭化成 27:48.22 27:48.22  
10 難波 天 トーエネック 27:48.27 27:48.27  
シトニック キプロノ 黒崎播磨 27:14.76 27:14.76 オープン参加

女子に関しては、ブダペスト2023世界選手権で7位入賞している廣中が最も優勝に近い、出場者のベストタイムでも他の選手に30秒以上の差があり、実力が頭ひとつ抜けている。第105回、106回と 2連覇中であり、本大会で大会3連覇をかけることになる。

   女子エントリー選手 自己ベストTOP10
氏名 所属 自己ベスト 2022-23年ベスト記録 備考
1 廣中 璃梨佳 JP日本郵政G 30:39.71 30:39.71  
2 五島 莉乃 資生堂 31:10.02 31:22.38  
3 山ノ内 みなみ しまむら 31:16.48 35:15.98  
4 楠 莉奈 積水化学 31:28.81  
5 加世田 梨花 ダイハツ 31:39.86 31:41.29  
6 木村 友香 積水化学 31:51.05 31:51.05  
7 柳谷 日菜 ワコール 31:56.32 31:56.32  
8 川口 桃佳 ユニクロ 31:57.81 31:57.81  
9 逸木 和香菜 九電工 31:58.59 31:58.59  
10 高島 由香 資生堂 31:33.33 31:59.60  

パリ五輪への出場枠の状況

本大会での内定条件が、五輪参加標準記録が含まれているのも、この記録を突破しないと国としての出場枠が獲得できないためである。

陸上競技の10000mの五輪出場枠は、男女それぞれ、27枠に設定されている。

前述の通り参加標準記録を突破した選手のいる国へ最大3枠与えられる。男子では5枠女子では11枠が、すでに割り振られているが、日本の出場枠は現状0である。残りの枠に関しては、どのように割り振られるのだろうか。

参加標準記録で決定しない残りの枠は、WAの世界ランキング(2024年6月30日付)によって決定する。

Road to Paris 2024ランキング(陸上10000m男子日本選手抜粋)
Road to Paris 2024ランキング(陸上10000m男子)
Road to Paris 2024ランキング(陸上10000m女子日本選手抜粋)
Road to Paris 2024ランキング(陸上10000m女子)

12月5日付のRoad to Paris 2024ランキングでは、男子の場合、田澤18位日本人最上位にランキング※1されている。また、32位に駒澤大学の篠原 倖太朗、35位にトヨタ自動車の太田 智樹がランキングされている。

女子では、21位に廣中日本人最上位にランキングされている。また、32位に資生堂の五島 莉乃、35位に第一生命Gの小海 遥がランキングされている。

ただし、五輪出場には27位までに入る必要があるので、現状では日本からパリ五輪に参加できるのは、男子で田澤選手、女子で廣中選手の1名ずつになってしまう。

本大会もランキングポイントを獲得できる大会なので、参加標準記録突破を目指すとともにできるだけ上位を目指してゴールすることが重要になる。

パリ五輪陸上競技10000mの日本代表は誰に?

12月10日の日本陸上競技選手権10000mで、パリ五輪日本代表内定選手が決まるのか楽しみな大会は、女子が16:03にスタート、男子が16:43にスタートする。

大会の様子は、NHKBSで16:00〜 生中継される予定。

この後も続いていくオリンピック代表選考レースを楽しむために、是非注目したい大会である。

*1:各国上限3人までとした場合のランキング

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