パリ五輪日本代表入りをかけた熱戦!レスリング全日本選手権の内定条件

レスリング全日本選手権内定条件アイキャッチ画像

2023年の天皇杯全日本レスリング選手権が、12月21日から24日まで東京の代々木競技場第2体育館で開催されます。この大会はパリオリンピックの日本代表選考において重要な役割を果たします。現在、レスリングでは9名の選手が既に五輪代表に内定しています。五輪出場権を持つ女子68kg級では、代表者がまだ決定していないため、この大会で代表が内定する可能性があります。また、男子グレコローマンとフリースタイルの各4階級(合計8階級)では、今後のオリンピック予選出場権を獲得するための重要な戦いが予想されます。この記事では、これまでの予選の流れと全日本選手権の注目ポイントをまとめています。

目次

パリ五輪の予選システムと日本代表候補の現状

パリオリンピックのレスリング競技は、男子グレコローマン6階級と男女フリースタイルの合計12階級でメダルが争われます。各階級の出場枠は16名で、一国からは最大1名の選手が出場できます。オリンピックの予選は大きく3段階に分けられています。

STEP
2023年世界レスリング選手権大会

2023年

09.16ー09.24 世界レスリング選手権大会
各階級5位までの国にオリンピック出場権を与える。【5枠】

STEP
各大陸予選

2024年

  1. 03.15ー03.17 アメリカ大陸予選
    各階級2位までの国にオリンピック出場権を与える。【2枠】
  2. 03.22ー03.24 アフリカ・オセアニア予選
    各階級2位までの国にオリンピック出場権を与える。【2枠】
  3. 04.04ー04.07 ヨーロッパ予選
    各階級2位までの国にオリンピック出場権を与える。【2枠】
  4. 04.12-04.14 アジア予選
    各階級2位までの国にオリンピック出場権を与える。【2枠】
STEP
世界最終予選

2024年

05.09ー05.12 世界最終予選
各階級3位までの国にオリンピック出場権を与える。【3枠】

STEP
パリオリンピック

2024年

08.05ー08.11 パリオリンピック2024
各階級16名の出場者によってメダルが争われる。

① 2023年9月に開催された世界レスリング選手権では、各階級の上位5名が所属する国にオリンピック出場権が与えられました。この大会で日本は、世界で最も多い10階級においてパリオリンピックの出場権を獲得しました(2位のアメリカとイランは7階級で出場権を獲得)。特に女子では全階級で出場権を獲得し、この競技における日本の強さを証明しました。

日本レスリング協会は、パリオリンピック日本代表選手の内定条件を以下のように定めています。

  • 2023年世界レスリング選手権大会でメダルを獲得し、出場枠を得た選手は、オリンピックの日本代表に内定します。
  • 2023年世界レスリング選手権大会で出場枠を獲得したが、メダルを獲得できなかった選手(5位)は、2023年12月に開催される天皇杯全日本選手権で優勝すれば、オリンピックの日本代表に内定します。
  • ❷に該当する選手が天皇杯全日本選手権で優勝できなかった場合、その優勝者と後日プレーオフを実施し、勝者が日本代表に内定します。

2023年世界レスリング選手権大会で日本代表が獲得した出場権獲得階級と上記の内定基準に基づいて内定した選手は次のとおりです。

女子フリースタイル男子フリースタイル男子グレコローマン
階級出場権内定選手階級出場権内定選手階級出場権内定選手
50kg級⚪︎須﨑 優衣57kg級⚪︎樋口 黎60kg級⚪︎文田 健一郎
53kg級⚪︎藤波 朱里65kg級 67kg級 
57kg級⚪︎桜井 つぐみ74kg級⚪︎高谷 大地77kg級⚪︎日下 尚
62kg級⚪︎元木 咲良86kg級 87kg級 
68kg級⚪︎※下記参照97kg級 97kg級 
76kg級⚪︎鏡 優翔125kg級 130kg級 
レスリング日本代表内定選手一覧

※世界選手権では、女子68kg級の石井亜海が5位を獲得し、オリンピック出場権を得ました。

全日本選手権では、日本代表の内定基準❷の対象となるのは、石井選手です。石井選手が優勝を逃した場合、内定基準❸に基づき、優勝選手と石井選手で代表決定のプレーオフが行われます。
また、2023年世界レスリング選手権大会で出場権を獲得できなかった階級に関する内定条件は以下の通りです。

  1. 天皇杯全日本選手権の優勝者は、2024年の大陸予選と世界最終予選の日本代表選手となります。
  2. 各大陸予選でオリンピック出場枠を獲得した選手は、オリンピックの日本代表に内定します。
  3. 世界最終予選でオリンピック出場枠を獲得した選手は、オリンピックの日本代表に内定します。

※全日本選手権の優勝者が怪我などで代替選手が出場枠を獲得した場合、優勝者と代替選手の間でプレーオフを実施します。
これらの条件から、全日本選手権の優勝者は残りのオリンピック予選に出場する機会を得て、出場権獲得はオリンピック代表への道となることが分かります。天皇杯全日本選手権がオリンピック出場にとって重要な位置付けであることが明らかです。

天皇杯全日本選手権:階級ごとの注目選手たち

オリンピック出場権がかかる階級を中心に、本大会の注目選手を紹介します。

女子フリースタイル68kg級

五輪出場権を獲得しているものの、代表内定者がまだ決まっていないのが女子68kg級です。オリンピックの女子6階級は、世界選手権の10階級分けに比べて少なく、そのため上下の階級から強豪選手が集まります。

本大会の女子68kg級には、東京五輪62kg級の優勝者である川井友香子、2022年世界選手権65kg級の優勝者である森川美和、2023年世界選手権65kg級の優勝者である尾﨑野乃香など、世界チャンピオンを含む多くの強豪が名を連ねています。

シード選手である森川、進藤芽伊、川井と、2023年世界選手権代表の石井、尾﨑を比較すると、国内の主要大会で68kg級の実績を残しているのは森川と石井です。進藤、川井、尾﨑にとっては、68kg級への適応度が鍵となりそうです。

また、選手間の個々の対戦成績によってトーナメントの状況が変わる可能性があるため、12月22日の組み合わせ抽選会も大きな注目点です。

優勝して代表内定を勝ち取る可能性がある石井がそのまま決定するのか、それとも他の選手がプレーオフに持ち込むのか、本大会の最も注目される階級と言えます。

開催年大会森川①進藤②川井③石井尾崎
2023年全日本選抜選手権11(72)233(62)
2022年全日本選手権25(72)5(62)12(62)
2022年全日本選抜選手権1(65)2(62)11(62)
2021年全日本選手権1(65)2(72)21(62)
女子68kg級出場選手の国内主要大会成績

*表内の数字は各大会での順位、①②③はシード数、括弧内の数字は68kg級以外の場合の階級を表す。

男子フリースタイル65kg級

東京五輪金メダリストの乙黒拓斗が注目されるこの階級では、彼は昨年の同大会と6月の全日本選抜で優勝し、国内での強さを示しています。しかし、今年は怪我に悩まされ、世界選手権で3回戦で敗退し、敗者復活戦も棄権しました。その怪我の回復具合が、本大会にも影響を与えると見られます。他には、第3シードで2022年同大会及び全日本選抜準優勝の安楽龍馬が乙黒にリベンジを果たせるか注目されます。また、今年の全日本選抜で山口海輝が乙黒を苦しめたことも見逃せません。

男子フリースタイル86kg級

今年の世界選手権代表の石黒隼士と東京オリンピック代表の高谷惣亮の対決が見どころです。昨年の大会で高谷を破った石黒が、12連覇中の高谷に再び勝利するかが注目点です。

男子フリースタイル97kg級

2連覇中の石黒峻士が注目されています。彼は2021年の全日本選抜以降国内で無敗で、本大会でも優勝が期待されます。また、世界選手権92kg級代表の吉田アラシも注目の若手で、昨年の全日本選手権と今年のアジア選手権での活躍が期待されます。

男子フリースタイル125kg級

2020年から3連覇中の山本泰輝が注目されます。第2シードの福井裕士が今年の全日本選抜で山本と接戦を演じたため、決勝でのリベンジが見どころです。

男子グレコローマン67kg級

遠藤功章と曽我部京太郎の対決が見どころです。両者は東京五輪以降の全日本選抜と全日本選手権で優勝・準優勝を分け合っており、今回の対決も注目されています。

男子グレコローマン87kg級

阪部創と角雅人の対決が見どころです。長年にわたりこの階級を牽引してきた2人の戦いが今回も期待されます。

男子グレコローマン97kg級

連覇を目指す奈良勇太が注目されています。彼は今年の全日本選抜で優勝し、アジア選手権で3位に入りました。また、全日本選抜で奈良選手と接戦を演じた仲里優力や、昨年の全日本選手権準優勝の天野雅之も見逃せません。

男子グレコローマン130kg級

奥村総太が注目されます。彼は昨年の全日本選手権と今年の全日本選抜を優勝し、世界選手権とアジア大会の代表でもあります。第2シードの小畑詩音が昨年の全日本選手権と今年の全日本選抜で接戦を演じているため、奥村を破るか注目です。

天皇杯全日本選手権:4日間のスケジュール

全日本選手権は以下の日程で行われます。パリ五輪日本代表選考に関連する階級には着色しています。

12月21日(9:30〜)

オリンピック階級(準決勝まで実施)

  • 女子フリースタイル53・62・76kg級
  • 男子フリースタイル74・125kg級
  • 男子グレコローマン8797130kg級

非オリンピック階級(決勝まで実施)

  • 女子フリースタイル72kg級
  • 男子フリースタイル61kg
  • 男子グレコローマン55・72kg級

12月22日(9:30〜)

オリンピック階級(敗者復活戦・決勝戦)

  • 女子フリースタイル53・62・76kg級
  • 男子フリースタイル74・125kg級
  • 男子グレコローマン8797130kg級

オリンピック階級(準決勝まで実施)

  • 男子フリースタイル57・86kg級
  • 男子グレコローマン60・77kg級

非オリンピック階級(決勝まで実施)

  • 女子フリースタイル55・65kg級
  • 男子フリースタイル92kg級
  • 男子グレコローマン63kg級

12月23日(9:30〜)

オリンピック階級(敗者復活戦・決勝戦)

  • 男子フリースタイル57・86kg級
  • 男子グレコローマン60・77kg級

オリンピック階級(準決勝まで実施)

  • 女子50・57・68kg級
  • 男子フリースタイル6597kg級
  • 男子グレコローマン67kg級

非オリンピック階級(決勝まで実施)

  • 男子フリースタイル70・79kg級

12月24日(9:30〜)

オリンピック階級(敗者復活戦・決勝戦)

  • 女子50・57・68kg級
  • 男子フリースタイル6597kg級
  • 男子グレコローマン67kg級

非オリンピック階級(決勝まで実施)

  • 女子59kg級
  • 男子グレコローマン82kg級

天皇杯全日本選手権のライブ中継:テレビ放送スケジュール

ライブ中継:YouTube 応援.TV【公式チャンネル】

12月21日

Aマット= https://www.youtube.com/watch?v=cc6J4F8q_cY

Bマット= https://www.youtube.com/watch?v=XfMrvg7zC2g

12月22日

Aマット=https://www.youtube.com/watch?v=r53ahuIbF_I

Bマット=https://www.youtube.com/watch?v=pQXuFXOCHII

12月23日

Aマット=https://www.youtube.com/watch?v=J5DXzBwAEJM

Bマット=https://www.youtube.com/watch?v=1c54TA3c9CA

12月24日

Aマット=https://youtube.com/live/1fIvWMxtwOk?feature=share

Bマット=https://youtube.com/live/N6Ua8tLkCRE?feature=share

 

 

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