2024年2月に開催される2024 ISA WORLD SURFING GAMESの日本代表が12月25日に発表された。
メンバーは、既にパリ五輪日本代表に内定している3名の他、男子には新戦力のコナー・オレアリー選手加わり、女子は都筑有 夢路選手、前田 マヒナ選手が代表として発表された。
この大会は、オリンピックの世界最終予選を兼ねており、女子代表としては追加の出場枠を獲得したい大会である。
男子代表は、既に国別最大の3枠を獲得しており、この大会の結果はオリンピック出場枠に影響しない。
本記事では、サーフィン競技のオリンピック予選方式と本大会の位置付けを説明する。
また、本大会に出場する代表選手の特徴を併せて記載する。
パリ五輪サーフィン競技の予選方式と日本の現状
パリ五輪2024のサーフィン競技は男女それぞれ24枠の出場枠が設けられている。
基本的に1つの国からの出場枠は最大で2枠となっている。しかし、サーフィンの世界選手権であるWorld Surfing Games(以下WSG)にてチーム戦で1位となった国に1枠追加される。個人で 2枠獲得しチームで1枠獲得した国は、合計で最大3枠出場枠を獲得できる。
チーム戦での追加は2022年と2024年の大会で1枠づつ設けられている。
パリ五輪サーフィン競技の予選方式
男子及び女子の出場枠獲得資格を下記に記載する。
タイムラインに沿って出場枠の獲得システムを説明する。
サーフィン競技の予選方式タイムライン
2022ISA WSG
WSGチーム戦において、最上位の成績を収めた国が、パリ五輪2024への出場権1枠を与える。2023チャンピオンシップツアーランキング
男子はランキング10位まで女子は8位までの選手に出場権を与える。ただし同一国が獲得できるのは 2枠まで以降は他の国を繰り上げする。2023ISA WSG
WSGにおける各大陸の1位の選手に出場権を与える。(アメリカ大陸を除く)アメリカ大陸予選
最上位の選手にアメリカ大陸枠の出場権を与える。2024ISA WSG
WSGチーム戦において、最上位の成績を収めた国が、パリ五輪2024への出場権を1枠獲得する。男子は大会成績6位まで女子は8位までの選手に出場権を与える。2024パリオリンピック
パリ五輪サーフィン競技は、フランス領ポリネシアのタヒチにて男女各24名が参加して実施される。予選状況と日本の出場枠獲得状況
2022年
2022年に獲得できるのは、WSGでのチーム優勝枠1枠のみである。
2022年大会では、個人で五十嵐カノアが優勝し、日本が男子でチーム優勝を果たした。
男子1枠:日本 女子1枠:アメリカ
2023年
2023年は、年間を通じて行われるワールドサーフィンリーグ(WSL)のチャンピオンシップツアーランキング上位選手へ出場枠が与えられた。
下表の通りだが、同一国で 2枠までの制限があるため、括弧内の順位はリーグでの実順位を示した。
男子10枠:ブラジル・オーストラリア 2枠他、日本は五十嵐カノアが1枠獲得
女子8枠:アメリカ 2枠、オーストラリア 2枠他
また、時系列が前後するが、2023WSGにて大陸ごと最上位の選手に出場枠が与えられた。
ただし上記のWSLでの出場権を優先するので、どちらでも出場権を獲得した場合、大陸枠は返上され、下位の選手に権利が移る。
そのため、日本は、アジア大陸1位が五十嵐カノアであったが、次の順位の稲葉玲於に権利が移り、ここでも出場権を獲得した。
男子では、アフリカ最上位であったモロッコの選手は、全体の30位に入ることができなかったため、権利を返上し、2023年WSGの優勝者が出場権を得た。
別途、アメリカ大陸予選も行われ、男女各1名選出された。
男子5枠:フランス・ニュージーランド 他、日本は稲葉玲於が1枠獲得
女子5枠:フランス・ニュージーランド 他、日本は松田志乃が1枠獲得
2024年
そして、世界最終予選として、2024WSGが開催される。2022年と同様にチームでの優勝国に1枠出場権が与えられる。
また、個人順位に応じて男子は6枠、女子は8枠出場権が与えられる。
日本は男子はすでに最大数の出場枠に達しているので、新たな取得は無い。
女子は、現状個人での1枠を獲得している状況なので、個人順位上位8位に入ることで1枠増やすことができる。
またチームで1位を獲得できると、最大枠の3人の出場枠獲得となる。
この大会での出場者が決定後にユニバーサル枠の選定が行われて、全出場者が決まる。
なお、開催国枠があったフランスは、個人での出場枠を獲得したため開催国枠は2024WSG枠に返上された。
パリ五輪サーフィン男子出場枠
パリ五輪サーフィン女子出場枠
新メンバーが加わった日本代表チーム
本大会には、日本男子チームに新たなメンバーが加わった、オーストラリア出身のコナー・オレアリーである。
オーストラリア人の父と日本人の母を持つコナーは、今年オーストラリアから日本への移籍が認められた。
2024WSGにも五十嵐カノア、稲葉玲於らの内定選手と共に日本代表として戦うことが決まった。
日本はオリンピック出場枠を3つ獲得しており、2024WSG後にコナー・オレアリーの日本代表内定が決まる見込みだ。
彼の実績を見てみると、今年のチャンピオンシップツアーランキングでは、五十嵐カノアよりも上位の11位である。
全ツアー10戦中5戦で5位と安定した成績を誇っており、日本のオリンピックでのメダル獲得に大きく寄与してくれると考える。
また、女子代表には、東京五輪で銅メダルを獲得した都筑と前田が選考され出場枠の獲得が期待される。
パリ五輪で6名の日本代表が活躍できることを信じ、WSGでの活躍を応援したいと思う。